小説

□・彩
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お前は綺麗な瞳を一瞬丸くして、その後そっと瞼を閉じた。

耐えまなく二人の間を流れるそよ風さえも何故だか俺には煩わしい。

『今日は風が気持いいな』

嬉しそうに笑ったお前の台詞。俺と居るのにも関わず、天候の話か。


「――ん、て、づか…」


ああ、そうだ。


俺だけ呼んでくれ。


俺だけ見てくれ。


この風も、木々の深緑も、全てお前を彩るものだ。お前の心を惹くものは俺だけで良い。








END
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