小説

□・心、扉、君
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だけど俺は同時に気付いたよ。そんなお前の気持に気付く位にお前を見つめてたって事を。皆は俺をコンピュータみたいに言うけど俺にだって誰かを想う心はある。綺麗なお前の、純粋な心。お前が見つめてるアイツに、手塚に、渡したくなくて――。







「いぬ、い……?」




誰もいない部室でお前をきつく抱き締めた。扉の向こうにお前を待っている手塚がいることを知りながら。


11月の木枯らしが吹き始めた、寒い日だった。



俺はお前を好きだと言った。



   お前は。



   お前は。




    「乾」





俺の名を呼びながら、心で扉の向こうのアイツを呼んでいた。









END
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