小説

□・その涙をこの手に
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「何故真田君は彼等を退部処理にしないのですか」

いつの間にかやってきた柳生が不思議そう尋ねると、参謀は更に困った様に首を軽く振り、声を落として答える。

「実は赤也と仲が良いんだあいつら。2年で独りレギュラーというプレッシャーの中、友達がいなくなっては不敏だと…」


「それはまた…何と言いますか……」

「…プリ」

やれやれ…なんだかんだウチの皇帝さんは優しいの。すぐ殴るわ怒鳴るわの癖によ。
そうこうしている内に説教も終わったらしく5人はダラダラとグラウンドに向かう。恐らくは罰走を命じられたのだ。真田は厳しい表情のまま、何かを抑える様に拳を握っていた。









――結局あの後真田は部活を参謀に託し、どこかへ消えた。また頭を下げて回っているのだろうか。既に部活はとっくに終わり、皆帰宅してしまった。帰り際、柳生と参謀が赤也を連れて帰ったからあいつらの事を話す気なのかもしれない。




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