エリート!
□スイッチ
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そういえば、あたしいつから恋してないんだろう…
思い返せば、あたし中1から恋なんてしてないや…
恋、したいな…
ま、無理やり恋するもんなんじゃないんだけどね。
* * *
放課後、帰ろうとした時どこからともなく「パコーン、パコーン」という音が聞こえてきた。
ふと周りを見渡すと意外と近くにテニスコートがあって、とうやらそこから音がしているらしい。
近寄ってみると、誰か知らないけど一人で練習してた。
もう6時だよ?みんな帰ってるよ?
そう思っていた時、彼と目があった。
『…あ』
「アンタ…誰?」
『あ、ごめん…盗み見する気は無かったんだけど…』
「…別にいいけど」
そう言ってまた彼は練習し始めた。
『……ねぇ、帰らないの?』
「もう少し練習してく」
『なんで…そんなに頑張るの?』
「この前、試合で1年生に負けた」
『そう、なんだ…』
「あんなに悔しい思いしたの初めてだった」
『…………』
「あんなにテニスが面白いって思ったのも初めてだった…」
『…………』
「…こんなに何かに夢中になれることなんて久しぶりなんだよね…だからこんなに夢中にさせたあいつにお返ししなきゃって思って。…次は絶対あいつに勝つんだ」
『かっこいい…』
「は?」
『すごい、そういうのかっこいいよ!』
「…別にかっこいいとかどうでもいいんだけど」
『ねぇ、今度の試合っていつ?』
「来週だけど」
『ね、見に行ってもいい?』
「…勝手にすれば?」
『ほんとに!?じゃあ、必ず行くね!差し入れも持って行くから』
「はいはい…」
『ふぅ…じゃ、そろそろ帰ろっかな』
「…そっか」
『うん、じゃあね』
「…ちょっと待ってて」
『へ?』
「俺も帰るから」
『う、ん』
懐かしいこの気持ち…
どうやらあたしは久しぶりに恋をしてしまったようで、なんか顔が無性に熱かった。
(送って…くれるの?)
(まぁ…一人じゃ危ないし)
(ふふ、ありがとう)
スイッチ
08/11.13