*イラスト BOOK*
□【卒業】[飛影×蔵馬]
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─キーンコーンカーンコーン…─
卒業式も終り、皆それぞれがそれぞれの道を歩む鐘が校内に鳴り響く。
「じゃぁね」
「元気でね」
「あたしの事忘れないで…」
そんな声がアチラコチラから聞こえてくる。
『さて…オレも行くか…』
蔵馬も友人達に別れを告げ、校門へと歩き出した時だった。
どんどんと近付いてくるこの妖気をオレは知っている。
この炎の妖気は……
「…飛影!??ど、どうしたんですか?こんな所(学校)に貴方が来るなんて…霊界からの指令ですか?」
そう訊くと、飛影はフルフルと首を横に振る。
「と、とにかく帰りましょうか」
っと、蔵馬が歩き出したその時であった。
─スッ…─
飛影の手から差し出されたのは一輪の紅い薔薇。
「飛影?」
「…やる………。」
「これを…オレに?」
「ああ。」
と、コクンとうなずく。
「今日はガッコウを辞めるんだろう?」
「辞めるっていうか…卒業ですけどね。」
「なんでもいい。やる。」
そう言い残すと飛影は足速にその場を去ろうとした。
「ま、待ってください。何故薔薇を?」
「幽助が…相手に似合う花を贈ればいいと言っていた。」
なるほど…
「それで飛影はオレにこんなに素敵な薔薇を選んでくれたんですね。ありがとぅ、飛影。」
卒業。
それはそれまでの日常との別れ。
別れとは辛いモノ。
だけれどその辛さの分だけ大切なモノを見つけられる。
こんな感動を味わえるのなら…もぅ一度くらい卒業を経験するのもいいかもしれない。
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