小説「湊の生涯」H2編

□第3話
1ページ/9ページ

千川祭の次の日、代休の千川高校。その朝…

古「寒…」

どこか行く様子の古賀春華。

古「じゃあ行ってくるね、サード」

愛犬サードにそう言い、古賀は出掛けた。



第3話『比呂を取り巻く出来事』



今日は所謂秋晴れだった。

古「国見君ー!」

比呂はニッコリと笑った。今日は都内の遊園地に来ている2人。昨日の責任により、今日は全て比呂のおごりになっている。

古「まった?」

比「ううん」

2人は敷地内の池の前で待ち合わせをしていた。

比「では、我が儘をどうぞ」

古「えーと、あれ!」

比「え?」

古賀が乗りたいと言った乗り物はなんと、

比「うわー」

立ち乗りジェットコースターだった。しかも1番前…結局、

比「何だ何だ?思ったよりおっかねえじゃないか」

古「国見君ってああいうの苦手なの?」

比「ちょっとな」

比呂は立ち直り、

比「さぁ次はどれだ?」

古賀は、『ビックリハウス』と言ったので、そこへ入った。

比「へー、よく出来てるなぁ」

中に入ると最初、変わった物が置いてあるフロアだった。

比「古賀、先行くぞー」

古「あ、待ってー」

古賀が追い掛けると、ミラールーム迷路に入った。

古「あれ?国見君どこ?」

古賀はとりあえず『ビックリハウス』を出て、比呂を探した。10分後、

古「国見君ー」

ようやく比呂を発見。比呂はあの池の前にいた。

比「さて、次の我が儘は?」

次は、輪投げをする事に。

古「あれ」

比「おーし」

古賀はピエロの置物を指した。

古「遊園地ならと思ったの、野球じゃ見られない、子供っぽくて無邪気な国見君が見れるかもって」

古賀がそう言うと、スカッと輪は外れた…

比「おりゃ」

ビヨヨーンと輪はピエロに当たった。

古「国見君、照れてる」

比「そりゃ初めてのデートだしな、ちょっと緊張してるかな」

古「デート?」

比「馬鹿、繰り返すな」

スカッ、コトッ。輪が入ったのは、隣の関取の置物だった。

比「さぁ、とっておき、行くか」

とっておきとは、観覧車の事だった。乗り込む2人。

比「う、動くな、バランスが崩れるだろ!」

比呂は不安定かつ高いのは苦手らしい。ちなみに湊は三脚と梯子が苦手らしい。

古「これが見たかったの」

それは野球場だった。観覧車を降りた後、次へ行こうとした時、古賀がふらついた。

比「古賀!」

どうやら熱があったらしい。

比「お前、いつからだ?」

古「今朝からよ」

この言葉が、比呂を怒らせてしまった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ