□名前の無い想い
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気付いたら、俺は心を殺していた。
弁慶が、相手が男なのに初めて心が揺れた。


兄上にはこんな感情は芽生えなかったのだが…



『好き』という感情。


知られてはいけないと切に願う。


名前の無い想い―…



弁慶なら、簡単に気付くだろう想う心を直隠し。


幼少時を越え、成人した今でも、


悟られずに生き続ける。


この先に、例え二人を分かつ逆境が訪れようとも


決して告げないでおこう。



己の内に『名前の無い想い』として――……








end.
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