証
□願わくば、本当の音を
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乱世の中、星が瞬く夜空に一筋の光が長く走った。
まるで、鼓動から流れる血を見たような既視感を覚えたのは果たして気のせいか。
はたまた、彼が見せた儚い夢か…。
「知、盛…君は、僕を誑かすいけない人…なのに、どうして……」
どうして敵同士でなければならないのか。
敵同士である理由。それが、幼馴染みに近い戦友が、彼と相反する立場にいるから。
どちらかを選ぶことに、迷いが生じていた。
一筋の光がまた地上に降り注いだ。弁慶の、今の心情を悟ったかのように一心同体で。
胸が、切なさでドクンと脈打つ。
「…明日は、大事な戦でしたね。」
一陣の風が吹き、生乾きの弁慶の髪を優しく揺らす。
「どう転がれば、一番いいのか…悩むなんて、僕らしくないな。」
翳りを帯びた表情に、確かな憂いを添えて。
甘く寂しい溜め息が、薄く開いた赤い唇から零れ落ちる。
皆が転がる褥から、眠りを促す幼馴染みの声がした。