証
□Bectar Bloom Heat
1ページ/3ページ
這う指先で喘(あえ)がる吐息に、動きに合わせて上がる胸と肩。
縋るように首へ回されるしなやかな腕が、何かを語る。
揺れる声は、妖しく濡れ艶めいていき。
開花した蜜花からは、高い芳香を漂わせた。
「ぁ、あっ…は、ぁっ…んっ、ゃ、ぁあっ!!」
鼻孔をくすぐる甘い蜜は、人を意図も容易く酔わせる、触れてはいけない危険な媚薬。
Bectar Bloom Heat
「くっ…は、っ…はぁ…べ、んけっ…」
最愛の人の、高ぶりが最も深く繋がっている奥へ放たれた。
汗ばむ肌同士はぴったりとくっついたまま。
耳朶の傍で、荒く乱れ、濡れた呼吸に体は過敏に反応を示す。
「こんなに震えてる。感じて気持ちよかった?」
また弁慶の身体が打ち振るえ、掠れた声でも適わないと悟り。
身体の隅々まで支配するような小悪魔の囁き。身体が完全に堕ちきれない、痛みのある快楽が増幅される。
横目で恨めしげに見つめ、意地を張るかのような態度を見せる年上の恋人。
頼もしくもあり、だけど時折見せるほんの一瞬の危うさに、想い慕う心は惹かれていた。
「好きだよ、弁慶。もっと、オレだけを見て。オレで感じて…オレと一緒に溶けてよ。」
睦言は愛する人のために、愛する人を縛り付ける鎖。
時に甘く、時には激しく、恋仲(ねつ)を貪り融合して甘美な交わりを幾夜も織りなす。
まるで、一本の橋梁(きょうりょう)のように、熱が溢れ出し逃げる道を容易に塞いでいく。