□君と夏祭り
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神社の近くでは、幾つ物提灯が灯され、華やかさを演出。
大通りから逸れた場所にあり、特別な行事の為に多くの人で混雑し、客を引く声や親子、友人同士などで既に溢れ返っていた。

「すごい人ですね。はぐれないようにしないといけませんね。」

人の行き来が激しい夕方、神社の入り口でしっかりと手を握る。九郎の指に己の指を絡ませて。
二人の絆が、意地悪な神様に解かれないようにと…。

「弁慶、りんご飴食べるか?」

沢山の出店が競い合うように立ち並び、不意に視界に飛び込んできた出店を示す。

「んー、そういうなら食べようかな。勿論君の奢りで、ですけど…素敵な彼氏に買って来て欲しいな。」

「っ、冗談はやめろ。買ってくる。」


いつもと違う姿に

雰囲気に調子が狂う。


親と逸れたらしい子供とぶつかり、お詫びで二つ買ったりんご飴の一つを譲る。

「九郎らしいですね。…ん、おいしいです。九郎もどうです?」

おいしそうに飴を舐め、相手にも差し出す。

「ありがとう。甘いな…。」

「飴だから当たり前です。」

そんな他愛無い会話をぽつぽつと交わしていく。
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