証
□離れないで、彼の想い
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「…狡いな。僕をおいてけぼりにするなんて…」
「弁慶?」
くろうが、すき。
でも、知らない九郎は苦手。だって、僕の知っているくろうじゃないんですもん。
「僕だけ、時が止まったまま…くろうのばかぁ。」
背後からぎゅぅっ、と抱き付いて堰を切ったかの如く不満が言葉の洪水となって溢れていく。
「べん、けい?」
驚きと困惑であろう声音が、耳朶を震わせてくれる。
紙の擦れ合う音。
新聞紙が綺麗に畳まれテーブルへ置かれ。
彼の両腕が僕の背中へ回る。
「少しでも弁慶の役に立ちたくてな…独りにさせてすまん。」
意地悪で、優しい声と言の葉がストンと僕の心に落ちて安らぎを与えてくれた。
「すきです…でもこれからは一緒に、ですよ?」
ちょん、と口唇が触れ合い仲直りの意味を込めて。
太陽のように熱い想いは、彼へと届くと信じながら。
褥に横たわれば蕩ける愛撫に、身も心も投じた。
朝日が昇れば、必ず闇の帳も下る。
これからも共に、甘い声で、愛の言葉を囁いて。
大切な彼と一緒に素敵な毎日を迎えたい―…
「くろう、だいすきです。」
太陽と月のような関係。
眩しい笑顔を見せていて下さいね?
end
→あとがき&懺悔