証
□君と、つながり。いつまでも。
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「もう冬になるんだな。寒いわけだ。」
「そうですね。それに、空に浮かぶ星々があまりに綺麗だから、見入ってしまいそうです。」
闇夜だから、人目を気にせず指を絡め合わせながら、温もりを求め手を繋ぐ。
「弁慶、そういえば買い物をするのではなかったのか?」
「寄ってくれるなら、買いたいな。」
呼吸するたびに、吐き出される息が白く霞み、やがて空気と紛れて消えていく。
暗い外で、淡く雪のように白い肌が、浮かび上がり。九郎はツィッ、と明後日の方向へ視線を向けた。
理性か性欲か。愛しさ故に、理性が勝る。否、嫌われたくはないという、複雑な男の心情。
自然と脚は、目的地を変えたスーパーへと向かいながら、街灯が暗い夜道を淡く照らしつける。
隣でそっと微笑んでいる愛しい人が、可愛らしくて逸らした視線が、つい隣をチラチラと左右する。
不意に、小さな笑い声が聞こえた。
「…弁慶…何笑ってる。」
右肩から左へ鞄の紐を掛けているため、自由な左手で口元を押さえている弁慶を見た。
九郎の尖る唇や半眼は、恨めしげな、だけど子どもみたいに拗ねているような。
確かに、年相応な表情なのに実際より幼さがあって、段々と弁慶の顔は、楽しそうに破顔してゆく。
「だって、九郎…落ち着きがないんですもん。」
クスクス、と。耳朶のそばで耳を擽るような優しい笑い方に、寒い筈の肌はぞわぞわと妖しく波打つ。
「っ…べ、弁慶がいけないんだ。」
「おや?僕へ責任転嫁ですか。」
「ぁ、いや…別に、そうじゃないぞ!!」
「無理しなくていいのに。」
コロコロと変わる表情は、弁慶を楽しませる要素へ変わる。