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□聞きたくない聞きたくない
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「でさー、そこの茶屋の子がかわいくてさぁっ!!」

聞きたくない聞きたくない

「ほう。」

「あ、後あそこの茶屋の子もかわいかったなぁ…。」

「ほう。」

聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない!!!
我をこれ以上苛立たせるな!!!!

「元就サン…、もしかして怒ってる?」

「何故だ、怒る理由などない。さっさとでていけ」

「嘘つき。怒ってるじゃん、なぁ夢吉?」

我の膝で餌を食している夢吉が微妙な鳴き声をあげる。
動物は賢いな。ここで同意するような鳴き声を出したら即投げてやろうとしたのが伝わっていたらしい

「だから何故我が怒らねばならぬ。貴様の諸国巡りはいつものことだろうが」

そう、諸国巡りに行く慶次を止めることはもう諦めた。
我は…、慶次の一番にはなれぬ。慶次はずっと我より大切なものがあるのだ。
そのことに気づいてしまってから、慶次に対する何もかもを諦めた。期待するだけ無駄なのだ、この男には…。
そう言い続けていながらも、こやつに嫌われたくないと思ってしまうのは“恋心”と言う奴か
フッ…、我は女々しいな。

「元就サン…?今日なんかおかしいよ?」

「…慶次。」

「ん?」

「今日はもう疲れた。帰れ」

慶次の口から諸国の娘の話を聞くと苛々する。
もう聞きたくない。これ以上苛ついて慶次に嫌われとうない!

「…そっか。じゃあ、今回はもうおいとまするよ」

慶次が出ていく。
あぁ…、猿を返し忘れてしまった

「猿、慶次と一緒にいかなくていいのか?」

猿が我の裾にしがみつく。
これは、行きたくないと言う意思表示か…?

「いいのか?今度はいつ来るやもわからぬぞ」

我といて何が楽しいのだ?
慶次といる方が余程楽しいだろうに。

「我は、つまらぬ奴よ。一緒にいて楽しくないだろう?」


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