悴んだ指先が、感覚を失う。
何度となく息を吹きかけるけれど、凍った指先は融ける事は無く。
ただ、寒さばかりが増すだけだ。
「だから、我慢するのはよしなさいと言っただろう?」
苦笑する顔。
ウェーブの掛かった髪は一つに緩くまとめられていて。
困ったような、呆れたような彼の顔がはっきりと見えた。
その顔が、何故だかとても悔しかったから。
だから私は、
「 」
と、呟いた。
微かに開かれた目に、思わず心の中でガッツポーズを決めたけれど、
その瞬間、目の前には意地の悪い顔が一つ。
「聞こえなかったよ、神子殿。もう一度、…言ってはくれまいか?」
そう言うと、悴んだ私の指にそっと唇を寄せた。