□林檎少年と保険医
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「今日はまた派手にやられたね」
クスクスと笑いながら消毒する
少年は痛みに顔を歪ませながら愛想無く答え
「別に」
スリッパをパタパタ鳴らした


「別室で授業を受けさせてもらえばいいのに、」

少年の冷めた目を伺う
真っ赤な頬が林檎のようだ

「それだと負けた事になるだろ」

強気な姿勢は崩れない
こんな態度だから周りに馴染めないんだろう
その不器用さが可愛いなと思う


「靴、新しいの買わないの?」
「‥買ったってまた無くなるだけだし、金の無駄」
「そうだね」
むくれた顔がまた可愛くて僕はまた笑ってしまった

「先生も‥オレの事、馬鹿にしてんの?」

眉間に刻まれたシワが一気に深くなる

「してないよ?」

立ち上がり棚のガラス戸を開け目当ての湿布を取り出す


「可愛い、とは思ってるけど」

少年の顔が歪む



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