おまけ
十一番隊は泣く子も黙る戦闘集団である。その隊舎付近に猫が住み着いた。
なんて命知らずなバカ猫!とは一概にには言えないのだ。

「あ〜ハナちゃん」
真っ白な毛並みの猫を発見して、やちるが更木の上から小さな手をヒラヒラと振る。

そう。十一隊でこの副隊長のお気に入りにさえなってしまえば、こんなに安全な隠れ家もなかったりするのだ。
「…なんで、シロじゃなくハナなんですか?」
やちるの名付けのいい加減さを理解しながらも一角は気になって仕方がない。
「あのね〜ハナはね鼻の横に黒い鼻くそみたいな模様があるの〜だから鼻くそハナちゃん」
「…………」
人間なら立ち直れない由来だな。くそでないだけ上等か?一角は気の毒そうにハナに視線をやる。
鼻くそハナに、剃髪してるから(ハゲではないらしい)つるりん。邪魔とは思っていたが、憐愍の情が湧いた。
「あれ?ハナはメスなんすか?腹大きくなったような」
「うん〜ハナは女の子だよ!やちるが、こんぺいとうあげたから太ったのかな」
「何をやってんですか…いや、そうじゃなくて。お腹に赤ちゃんが居るって事ですよ」
「乱ちゃんと同じだ」
「そうです。桜の時期には5〜6匹産みますよ」
「じゃあ、乱ちゃんも5〜6匹産むの?」
「いや!死神と猫は違いますよ」
な〜んだ。
と残念そうにむくれたのは一瞬の事、キラキラと瞳を輝かせて。
無邪気な幼顔で、巨大な爆弾を投下した。

「ねえ!赤ちゃんはどうやって、作るの?」
沈黙が流れる。

そう来るかー!知ってて聞いてるのか?俺をおちょくって遊んでるのか?
見た目と実年齢がイコールではないのは、やちるとて同じだ。

そんな期待に満ちた目で見るなーー。

窮地に追い込まれた一角を救ったのは、沈黙していた更木だった。
「合体すりゃできる」「合体〜!」
「ぶっ」

興味津々でやちるは更木を覗き込む。

たっ…隊長。なんて事を!

「合体〜どうやるの?」
「日番谷と松本にやってもらえ」
「分かったぁ〜」

更木の方からピョンと隊舎の屋根まで、跳躍すると、あっと言う間に消える。

キャハハハ

楽しげな笑い声だけを残して。

「下らねぇ事言ってねえで、一本相手しろ」「はあ」
さすが扱いが慣れてる!と言うべきか。面倒を押し付けただけなのか?
ピンクの嵐が向かった先に同情をしつつ。
更木の背中を追いかけた。猫だけがのんびりと3人を見送る

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