死にたくはない

□悪夢
1ページ/1ページ

これは夢だ。

だっておかしいじゃないか、こんな大舞台の真ん中で厭世主義のニヒリストたちに囲まれながら淹れたてのアールグレイを嗜まなくてはならないなんておかしいじゃないか有り得ない有り得ない有り得ないし、怖くなってあの十字架と古時計の隙間から逃げ出した僕の両手足には操り糸が縫いとめられ走るたびにぐるぐる絡みついてぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるするなんて気持ち悪いだけじゃないか
それでいて僕は次に顔の上半分が緑色の蛙人間に襟首を掴まれめがね橋から突き落とされることを既に知ってるんだが、これはどうしたことだろう前に見たことがあるみたいなデジャヴみたいな変な夢だがいい加減早く醒めてくれ
でなきゃこの後僕は確かマーブル模様の悲鳴をいっぱい積み込んだ蒸気機関車に追いかけられて鉄の車輪に脳天から右側と左側にきれいさっぱり分離させられてしまう気がするんだからお願いだ早く醒めてくれよ
だってこれは絶対に夢なんだから僕は死なない死なない死にたくないから僕はまだ死にたくないのに僕は






そうか







(これは正夢だ。)

.


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ