小説

□怪 我
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陵桜は予選を順調に勝ち上がりトーナメントにまで進んだ


予選では無失点と守備での安定感が素晴らしかった


夏に影響力のあるキャプテンのダイゴをCBにしたのは正解だった

見事にはまり役でDMFより向いていると皆、口をそろえていった


予選では陵桜の中でやはり京介が得点王、次にメグ、太陽と続いた。柚樹の得点はわずかなものだったがアシストの数は圧巻だった。


予選でとった点は34得点
6試合行った中で20点は1つの試合であげたものだ

つまり一試合で20点とったのだ



そういった決定力もある陵桜はトーナメントも失点することなく順調に勝ち上がっていった

季節はもう秋になっていた

ベスト4が出揃い大方の予想通り 陵桜 城西 刀商 陵嵐 が勝ち上がってきた


そして今日、陵桜は刀商と対戦する


柚樹とこなたは揃って会場に入った


こなた「今日もがんばってよ!」


柚樹「まかせろ!バッコリ勝ってやる!」


今日の試合は全校応援。皆が燃えていた
そもそも財前のチームワークによってこのために頑張ってきたといってもおかしくはなかった


会場は埼玉スタジアムという立派な環境

二人はスタジアム内に用意された部屋に向かおうとしていたが係員に止められた


係員「申し訳ございません。一般生徒の方はこちらより先、立ち入り禁止になっているんですよ」


柚樹はチームのジャージ
こなたは指定の制服をきていたため勘違いされた

とおもった

こなた「私マネージャーなんですけど」


係員「すいませんマネージャーの方も今回は一般生徒と扱われるようになったのでスタンドで観戦してください」


柚樹「…仕方ないなこなた」

こなたはむくれた


こなた「ゆずこれあげる!」

柚樹「なにこれ?」


こなた「定番中の定番ミサンガだよ」


柚樹「こんなの作れる技術もってたか?」


こなた「前に行ったサッカーショップでついでに買ってきた!」

前に行ったときこなたは何にも買ってなかったような

でもこれは店に置いてあった記憶があった


柚樹「フフフッそっか!じゃあたぶんこの大会中にぶちきるわ!」

正直うれしかった
ミサンガは夢が叶うと切れるといわれている
だけど自分があげたのを壊すこの発言に少し気分が落ちた


柚樹「違うぞ?自ら壊すんじゃないぞ!?夢を叶えられるようにだなぁ!」


あわてふためく柚樹が面白かった


こなた「わかってるよ。それじゃあ頑張ってね!」


柚樹「…おう」


走り去っていくこなたをみて何故だか寂しさを感じた こなたが入部して初めて離れて試合することにもどかしさがあったが
試合前に考えることではないとすぐにきりかえた


柚樹が控室にはいるとほとんど皆がきていた


太陽「おせーぞ」


柚樹「遅刻はしてないだろ?」


太陽「違いねぇ」


次にはなしかけてきたのが京介だった


京介「今日も勝つぞ。俺たちの夢のために」


柚樹「あぁ!」


リラックスしたムードの中、財前が入室してきた

あいさつをすますと早速ミーティング

財前「今日の相手は刀商だ。注意すべき点は2つ!『伊藤政宗』と『星村正』だ」

伊藤政宗、いとう まさむね
星村正、ほしむら まさし

あだ名は村正


刀商の柱となっている二人だ


財前「この二人のどちらかが幸村、京介。お前らにマンマークするだろう
政宗と村正
名刀と同じ名前のこの二人は通称『刀商の二本刀』と呼ばれていてエース殺しだ
怪我させるとかではないがつかれた奴はまったく仕事をやらせてもらえてないのが現状だ
なんとしても撃ち破れ」


京介&柚樹「はい!」


財前「おそらく残り10分になったらその二人が攻撃に転じる。そこでとった1点を守りきる特殊なチームだ。このことを頭にいれとけ」

一同「はい」


財前「相手も今まで無失点だから一点勝負になるぞ」

話はこれくらいで終わった。


グラウンドにでたら両校とも全校応援だったのでかなりの数の客がいた


アップを開始すると意外に近くにこなたがいた

こなた「ゆず」


柚樹「おうこなた!応援たのんだぞ!」


柚樹がつきだした拳にこなたも拳をつきだしてこたえた

こなた「まかせたまへ〜」


手首にはさっきわたしたミサンガがつけられていたのがはっきり見えた


試合前の最後のミーティングが行われた


財前「ユニホームをわたすぞ
キーパー16番、朝比奈!」

要「はい!」


財前「CB5番、神谷!」


ダイゴ「はい!」


財前「OMF10番、天海!」

太陽「おう!」


財前「FW11番、廻!」


メグ「はい!」


財前「同じくFW9番、京介!」


京介「はい!」


財前「最後にLMF21番、幸村!」


柚樹「はい!」


財前「舞台はととのった。自分のできる最高のパフォーマンスをしてこい
英雄は誰だ!!」


一同「はい!(俺だ!)」

財前は一人だけ呼んだ
太陽だった


財前「おそらくお前にもマンマークがつく。『佐谷虎太朗』ってやつだ」


佐谷 虎太朗 さや こたろう

財前「佐谷はインターセプトのスペシャリストだ。パスの発射台でもあるお前をつぶしにくるだろうがけちらしてやれ」

太陽「おやすいごよう」




試合がはじまった


京介に政宗がつき
柚樹に村正がついた

そして予想通り太陽には佐谷がついた



試合がはじまって異様だったのは村正と政宗が、どちらにボールがころがってもマンマークをとかなかった事だ


柚樹や京介がこの前半にまともにボールをさわったのは合わせても数えるほどだった


村正は柚樹へのパスをことごとくカットし、通っても柚樹のドリブルは通用しなかった。動揺したのか柚樹はまったくドリブルをすることが無くなり村正との一対一を避けバックパスをして逃げた

政宗は京介にボールがはいっても前を向かせず攻撃をさせなかった

前半、二人は見事に押さえられてしまった

太陽対佐谷は五分五分だった

インターセプトされることもあれば太陽が佐谷をかわすこともあった


前半は陵桜の枠内に入ったシュート数はわずか1だった。この一本も太陽が意志疎通できてない柚樹に無理矢理だしたパスをなんとか柚樹が追い付き強引に出した
そのセンタリングをたまたまいたメグが合わせたものだった

京介に合わせたいところだったが京介のマークがまったく外れていないことは柚樹にも伝わり、一かばちかにかけたセンタリングだった


あとは無駄に打たされたりとどうにもピリッとしない展開


試合内容としては4、6で陵桜が負けていた

相手の高いラインのせいで狭いスペースしかなくボールを失う回数が増えた


そこから生まれる相手の攻撃をダイゴを中心に完全に防いだ。

しかしこの攻撃はあくまで相手の主力を欠いた攻撃。ダイゴは気を緩めることはなかった
つまりはチームが緩めることはなかった。
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