小説
□安 易
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インターハイが始まった。
強豪たちは順当にシード権を勝ち取り、4強のなかで陵桜だけ1つ試合が多い。
今日の相手は強さでいえば中くらいの相手。
埼玉の4強の1つ陵桜にとっては何の障害にもならない相手だ。
〜試合開始前〜
財前「お前たちを油断させるわけじゃないが相手は強くない。正直お前たちが勝つだろう。
しかしだ!!
お前らと違ってあいつらはこのインターハイで引退だ。そのことを忘れるな」
あまりサッカーに力をいれていない高校はこのインターハイでサッカーを引退してくのが普通である。
整列しピッチにはいる。
キックオフは相手。
スターティングイレブンに変動はない。
GK:朝比奈 要
DMF:神谷 ダイゴ
OMF:天海 太陽
LMF:幸村 柚樹
FW:久保 京介
FW:廻 隆太郎
〜円陣での会話〜
ダイゴ「太陽、大丈夫か?」
太陽「何が?」
ダイゴ「…フフッいや、何でもない。」
太陽は精神的に弱いところがあった。
ましてや初めての先発で緊張してるかと思ったらそうでもなかった太陽をみてダイゴは安心した。
京介「まぁ太陽がミスって失点しても俺がとりかえしてやるから大丈夫だ」
ふざけて京介がそう口にした
メグ「京介さん!自分にもくださいよ。つうか自分が決めますから大丈夫っすよ太陽さん」
京介に続いてメグもふざけた
要「まず失点はないからね!何いってんすか。」
要もわってはいる
太陽「いや、俺ミスんないけどね」
一同は笑いすらこぼれるほどリラックスしていた。
柚樹「おい。集中しろ。」
ダイゴ「フフッ。さぁいこうか!」
柚樹がしめようとしたがダイゴは流れをまた元にもどすように笑ったままだった
円陣をすませ散らばった。
ピッ!
試合開始のフエがならされた。
まずまずの試合展開。
7割がた陵桜がせめていたが決定的チャンスを何本かはずしてしまったが相手は桜の攻撃にまったくついていけない様子だ。
だが、後半残り1分。
味方DFの不用意なバックパスをカットされキーパーと一対一。
要は優れたキーパーだ。
しかしどんなすぐれたキーパーであってもボールをもってる方が圧倒的有利。
一度は要が体を張った飛び出しでシュートを防ぐも、はねかえったボールが再び相手にあたり、結果 要を置き去りにした。
あとは無人のゴールにシュートをうちこまれ
0-1
予想外の得点に喜ぶ相手チーム。
まさに虎の子の一点。
〜前半終了〜
財前はパイプ椅子にすわりメンバーに選ばれた25名が財前の前に体育座りしていた状態。
ほかの部員は応援にまわっていてこのやりとりはしらない。
財前「………」
一同「………」
今回のハーフタイムは選手達だけで話す時間をはぶき、財前の前に全員が集合。
貴重な時間かつ沈黙の中での財前はあきらかに苛立っていてようやく重い口をひらいた。
財前「……あのさぁ。俺試合前にいったよね。相手はこれが最後の大会だって。
あんなくだらない失点してさぁ。
舐めてただろ。おいキャプテン」
ダイゴ「…いえ」
次の瞬間
パンッ!!!
ダイゴの返答に間発いれず財前がダイゴの頬を本気でひっぱたいた。
財前「お前交代。
舐めてたんだよ!
それも始める前から!
だから決定的チャンスも決めれない。バカな失点もする!
円陣の時のあの雰囲気なんだ!どいつもこいつも簡単に勝てるなんて思いやがって!
お前キャプテンだぞ!なんで締めない?!
…よく聞け。相手は死にもの狂いでくるんだ。簡単に勝てる試合なんて存在しないんだよ。」
一同「……はい。」
財前「負けたらそこで終りだ。だがまだ負けてない。
試合終了のホイッスルが鳴ったときに勝ってれば二回戦だ。
まだ一点差だ。こんなのどぉってことねぇ。とっととひっくり返しちまいな。
暴れてこい!英雄はだれだ!」
〜後半開始〜
ダイゴが殴られたことはダイゴがキャプテンだったからであってほかの3年全員がなぐられてもおかしくなかった。
チームを引っ張るのは3年。
その中で見本とならなければならなかったキャプテンのダイゴ。
なのに相手を舐めていたのだから。
自分たちが相手を侮っていたのは確か。
残りの時間、一切の侮りを捨て、何が何でも勝ちにいく。
チーム全員がそう心がけた。
相手は強豪相手にリードしている。そのことが気持ちをさらに高ぶらせ今までにない集中をしていた。
しかし陵桜の前半の気のぬけた攻撃ではない、並々ならぬ気迫を有した攻撃を受けているうちにこう思う。
「俺達、勝ってるんだよな?」
「何で勝ってる俺達が追い込まれてるんだ」
相手の必死の守り。
いつ切れてもおかしくない緊張の糸。
残り15分
0-1
その緊張の糸が陵桜の猛攻によって儚くも切れた。
京介「おっし!!!」
柚樹のアシストで
京介の同点ゴール。
メグ「おぉぉぉ!!!」
要のカウンターにより
メグの勝ち越し点
太陽「よっしゃぁ!!!」
太陽のミドルシュートで駄目押し。
3-1
試合終了。
〜その日の帰り〜
柚樹「ダイゴの様子どうだった?」
こなた「すごい落ち込んでた。殴られたからとかじゃなくて…なんか…」
柚樹「ん〜。大丈夫かなダイゴ。」