小説

□嫌 者
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財前「嫌われるのがそんなに怖いか?」



これだ。

キャプテンを辞めたい理由。

円陣の時だってあんな笑いなんか必要なかった。




自分があの流れを断ち切り気の締まることを言えば良かった。





だが言えなかった。


流れを断ち切れば水をさすみたいで言えなかった。





財前「キャプテンはお前だ神谷。これは俺が来る前に決まっていたことで俺もお前がキャプテンにふさわしいと思う。」


ダイゴ「でも…」


財前が優しく言うがダイゴの気持ちにひっかかりがあった




財前「もう一度言う。キャプテンはお前だ。」


ダイゴ「自分じゃあいつらを引っ張れないんですよ!」




思わず怒鳴ってしまった





財前「……なら引っ張らなくていい」


返ってきたのは意外な答えだった




財前「本当にお前がサッカーが好きなら、勝ちたいなら鬼になれ。
一切の甘さを捨て鬼になれ。
思った事を爆発させろ。ためるな。
チームを思っているならできるはずだ。

とりあえずやってみろ。頃合を見計らったときに何人かからお前がどう変わったかきいてみるから。

この話はそれからだ。」



ダイゴ「…はい。」



財前「最後に!…お前が流されたんじゃない。お前が流したんだ。」




鬼になれということがどうゆうことかわからなかった。



が自分で考え導きだした答えをダイゴは実行した。


「嫌われるのを恐れないこと」


最初はそう思った。


すると練習中に出す声がかわっていった。


チームを鼓舞する声だけでなく、プレー1つ1つに要求がでてきた。


ダイゴ「そこの一対一で負けたら話になんないんだよ!」


言われた方には厳しい一言。



だがこの声は今までの陵桜になかった声だった。



この声はチームの練習に緊張感をあたえ、効率の良い練習ができた。


財前の掲げるチームワークには限界があった。



他人のミスなど関係ないといってもどんなに自分が頑張ろうともまわりが余りにふがいなければ勝てないのだから。




ならば一人の力の向上より皆の力の向上を目指した。


ダイゴはそこから考えかたが変わった。



鬼になれ


その言葉の真の意味をわかった気がする。


「嫌われ者になる」


以前の考え方には甘さがあった。



だから一切の甘さを捨てどんな些細なことでも指摘する。




そうなれば今までミスしても何も言われなかったがダイゴに指摘されることにより、ミスが許されなくなった。



陵桜のミスが減るのは時間の問題だった。




ほかにもダイゴは点をとるために、ゴールを守るための声もだした。



ダイゴ「体捨ててでも飛込めよ!!どんなに泥臭くても一点は一点なんだぞ!」

ダイゴ「そこスライディングしねぇでいつすんだ!お前は陵桜のゴール守ってんだぞ!!」」








もちろんダイゴは口だけじゃない。



言ったからには自分も実行する。




体を捨てたプレーはどんどん傷を増やした。




だから皆ダイゴについていく。



財前「やっぱりお前はキャプテンだよ神谷。すばらしい影響力だ。」



財前の独り言。



柚樹「先生がそう仕向けたんじゃないんですか?」


柚樹に聞かれていた。




こなたはあの時教官室での会話を柚樹にはなしていた



財前「あいつは自分で考えて自分で変わったんだ。俺はそのきっかけを与えたにすぎない。
でもここまで変われるなんて想像もしなかった。

まったく
お前らにはおどろかされてばっかりだ。」






〜大会前の練習後〜


ミーティング中


財前「京介と廻。あと朝比奈はあとで教官室にきてくれ。」


〜教官室〜


財前「最近の神谷どう思う?」


ここは三年だから京介が最初に口をひらいた。


京介「変わりました。以前にはない声がチームにいい影響を与えていると思います。」


財前「廻はどう思う?」


メグ「やっぱり指摘されるから1つ1つのプレーを雑にしないっていつも心がけるようになりました。ダイゴさんのおかげです。」


財前「朝比奈は?」


要「自分の言いたいことを先にいってくれんで助かりますね。まぁ自分が言われたら腹たちますけど。」


この要の口調や言葉選びに先輩二人はピクピクきていた

財前「わかった。もういっていいよ。悪いな。こんなことで呼び出して」

三人が教官室がでたあとの三人の会話


京介「要はやっぱ一回ヤキいれないとダメだな。」

メグ「そうっすね。」


要「いや、なんで?」


要が財前に対する態度がまるでなっていなかった。



そのことは財前は言わなかった
が相手は先生なので敬語はあたりまえだ。

そしてとどめの
タメ語……



京介「そんぐらいわかれボケェ!」



もちろんこのあとヤキははいらなかった。




冗談半分でいれようとしたが柚樹にみつかりとめられた。




だけど柚樹も要の態度はきになっており、柚樹が要に軽く注意すると



要は驚くほど素直に言うことをきいた。


京介「メグ、ついてこい。盃をかわすぞ。」



メグ「がってん承知。」




二人は仲がいい。

飲んだのはアクエリアス。
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