小説
□一 歩
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再びキックオフ
城西のやつらの目の色がかわった。
京介の一発で目がさめたのか、その後の攻撃は凄まじいものがあった。
前半残り時間は押されっぱなしだった。
ミスが多くせっかく奪ったボールもすぐに相手ボールになるので陵桜は攻撃できずにいた。
まさに城西の攻撃は最大の防御そのものだった。
それでも体を張ってゴールを守り
1-0
で前半を折り返した。
財前「ディフェンス陣は体力に問題はないな?」
DF陣「はい!」
攻撃ばかりされていたのでDF陣は疲弊してると思われたがなんてことはない。
普段の練習や自主練習での走り込みで体力的には問題なかった。
財前「神谷!後半いくぞ!」
ダイゴ「はい!」
ダイゴにかわってレギュラーだったやつは今日ミスが多かった。
ポゼッションの中心になる彼がミスばかりしていれば攻撃は成り立たず逆に相手の攻撃がふえる。
柚樹「ダイゴ。これ。」
ダイゴ「あぁ。」
柚樹がわたした物はキャプテンマーク。
柚樹「やっぱりお前のほうが似合ってる。」
ダイゴ「もうゆずにはわたさねぇ」
軽くふざけてすぐに引き締まった顔つきになった
〜後半開始〜
ダイゴがはいることで流れがかわった。
城西の攻撃をカットし、陵桜の攻撃の軸になった。
DMFながらも果敢に攻撃にくわわりペナルティエリア前でファウルを誘った。
キッカーは太陽。
太陽でも少し難しいこの位置のFKは直接ゴールを狙うことにした。
ここで決めることができたなら勝ちにぐっと近付く。
この時太陽が思っていたことは
「俺がダメ押しを決めて英雄だ。」
ほかの攻撃陣がおもっていたことは
「はずせ。俺がつめこんでやる。」
ピッ!
太陽が助走にはいってボールを蹴る。
壁の頭をこしたボールはゴール左上済みにキーパーから逃げるような軌道で向かう。
ガンッ!
太陽のシュートは惜しくもポストにあたる。
太陽「ああぁぁぁ!」
攻撃陣「(よし!!)」
太陽は頭を抱えまわりは心の中でガッツポーズ
こぼれ玉を拾おうとしたがしかし先にボールを蹴ったのは城西。
要「切り替えろー!!!」
カウンターというわけではないが相手は城西。
守備をもろくすれば簡単にやられるという要の予感は的中してしまう。
残り15分。
城西の速いパス回しにまったくついていけず、陵桜DF陣は完璧に崩されて失点。
1-1
打たれたシュートに触るも強烈だったため、要の手は弾かれ失点した。
要はくやしがっていたがしょうがない失点だった。
そこまで崩されたDF陣に問題があった。
気持ちを切り替え攻める陵桜。
しかし弱いはずの城西DFがふんばり得点をゆるさない。
ロスタイム残り一分。
このままおわれば延長戦に突入。
ハーフラインくらいのところで陵桜の選手が相手を倒しファウルを与えてしまった。
ボールはファウルした位置を転がり、一旦きれたプレーに陵桜DF陣はラインを整え攻撃陣は自陣にもどってきた。
そしてキーパーの要がボールに背を向け的確なポジションに戻ろうとしたその時。
ドッ!
ボールは蹴られた。
こんなところでリスタートをした城西。
ボールは前にけられ高く舞い上がった。
陵桜の選手達には理解不能な行動。
そのボールに走り込む選手はいない。
明らかなミスキック。
なぜならキーパーが簡単にキャッチできるからだ。
「何やってんだこいつ。」
「アホだ。」
事の重大さに気付かない陵桜の選手たち。
財前だけが気付いた。