小説

□披 露
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ゴールから24mからの位置でFKを獲得。

ここでも今まで温存していた大会用戦術FK編を披露。


まず太陽がボールを的確にシュートコースをせばめた壁の位置からずらし柚樹がボールを止める。二人のおかげで広くなったシュートコースに京介が渾身の力を込めてシュートを放つといったものだ。

シュートは唸りをあげてゴールに襲いかかるがポストに直撃。
得点には結びつかなかった。


しかし三人はこの成果に満足にちかいものを感じていた

残り3分

ついに柚樹、京介、要の三人の必殺技が披露される。


相手のコーナーキックを要が直接キャッチしペナルティエリアぎりぎりまで駆ける。

その間柚樹は相手マークを振り切るための動作を開始。
京介はそれを成功させるために相手をかくらんさせた。


その条件がそろい要の足からボールが放たれた。


ボールを高くあげてしまえばヘディングの下手な柚樹はまず勝てない。しかし柚樹にボールを渡さなければこの戦術はなりたたない。

この2つの問題から出した答えは「超低空弾」


要はできるだけ低く速く、なおかつノーバウンドで柚樹にボールを送ることを要求された。

空気抵抗を考えた回転をかけたボールはまっすぐな軌道を描いた
これはかなり難易度が高いが日々の練習で要は自分のモノにした。

ハーフラインをこえたボールは走る柚樹の足元にピタリときた。
柚樹は絶妙なファーストタッチで今のスピードを一切止めることなく。そしてトラップ後の第一歩目で最高速までに達した。


スピードに乗った柚樹を止めることは難しくお得意のドリブルで次の瞬間には相手を置き去りに。

京介はその間にゴール前にセンタリングをもらいにいっていた。

二人はお互いを見る動作をすることはなく
柚樹はセンタリングのモーションに入り

京介はマークを外すことに集中。


親友がまったく違うことをやっているなか頭の中で考えていた

「お前なら!」と


アイコンタクトも声の合図も必要ない彼等の次の動作を知るのは彼等だけ。
相手DFは今まで体験したことない攻撃に慌て冷静さを欠いていた。


柚樹のセンタリングについていけたのはフィールドでたった一人。京介だ。


邪魔する者さえ誰もいない。
思った通りのボールがくる。
財前を黙らせるために誰よりもシュートの練習をしてきた京介が見る今のゴールはあまりにも大きすぎた。

どうやれば外せるの?

けっして驕りではない日々の努力に裏付けされたこの言葉は今の京介だからこそ思える言葉だ。






1-1


このあとは特になにがおきるわけでもなく試合が終了。

高校が相手ではないため陵桜の隠し技がもれることはなく、かつ互角の相手。本当に都合のいい相手の埼玉大学。



試合後〜


財前「全員大会前だから怪我などに気を付けるように。特に3年!怪我なんて形で三年間を終わらせたくないだろう。

ストレッチも十分に行え!

自転車で学校きてる奴らも交通事故には気を付けろよ!
1秒後の身の保証がされている奴なんてどこにもいない!」


部員全員がオーバーだと思った。大会まであと少し
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