小説

□兄 妹
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柚樹の視線の先には目にいっぱい涙をためながら父親の言いつけを守ろうと一生懸命にカレーを食べていた妹がいた


大好きなカレーを味あうこともせず、その小さな口で頑張ってたべていた


焦っているからか、急いではいるがなかなかカレーは減らない
口元や机はカレーでべとべとになってしまった
これではまた父親に怒られてしまうことも気付かず頑張って口に放り込んでいた


驚いたのは兄が口を開いたことである


兄「…ゆっくりたべな。ほら口ふいて」


兄が優しい表情で妹の口をふいてやったのだ



妹「でもお父さんが…」



兄「いいから。好きなんだろカレー」


妹は笑って初めて美味しそうにカレーを食べた


兄「それで?何があったんだ?」


妹「??」


兄「学校でおもしろかったことがあったんだろ?」


妹は楽しそうに話はじめた


それは他愛もない話で
兄はそれをしっかり聞いてあげていた

話終わって兄は「よかったな」と最後まで優しく接していた
父親がいる前では決して見せないだろう優しい表情だった


柚樹はもうボロボロに泣いていた

こなたも泣きそうだった

柚樹は兄妹に近付き二人の頭を撫でた

柚樹「これあげる」


それは自分のと妹の仏壇にあげるはずだったチュッパチャッ○スだった


二人は予想以上に喜んでいた
とても、とてもうれしそうだった


柚樹「強く生きるんだよ」


妹「??うん!」


妹は柚樹の言うことを理解はしてないが笑顔で返事をした


柚樹「妹は君が守るんだぞ」



兄「…うん」



兄は微笑みしずかに答えた



柚樹「何があっても負けちゃだめだよ」


それだけいって店をあとにした


こなた「あの子たち大丈夫かな?」



柚樹「大丈夫さ!あの男の子は絶対強いから!」


柚樹があの子を信じる理由がなんとなくわかる


また柚樹の事を知れた一日だった

この人は人の「痛み」をわかってあげられる人なんだと
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