「大輝っていつからおっぱい好きなの?」「…は?」
大輝はおっぱい大きい子が好きだって、これだから男はってさつきが呆れ顔をしていたのは最近のこと。
いまあたしの目の前には小学三年生くらいの男の子とその両親がいる。
ジュースをねだって、ゲームをねだって、甘やかされまくってるその子は「早く家に帰りたーい」なんて言いながら隣に座るお母さんのおっぱいに顔をぐりぐりと埋めた。
「大輝も子供の頃こんな感じだったのかなーって」「アホか」「そだね。で、実際は?」「しつけーな」
幼なじみのさつきなら知ってるのだろうか。幼なじみっていいよね。ずるい。小さい頃の大輝をあたしも知りたい。
いやあたしは大輝の彼女なんだから、ちっちゃい嫉妬すんなよ。
「子供の頃の大輝の話してよ」「バスケしてた」
「バスケバカか」「さつきみてーなこというな」
「バスケジャンキー」「そっちのがマシだな」
うわ、こいついまちょっとカッコイイくらいに思ってるよ。横文字に弱い奴。そんな単純バカなとこも好きだけど。
「わっ」「と、あぶね」
電車がカーブか何かに差し掛かったのか大きく揺れてバランスを崩した。大輝がすばらしい反射神経をみせて引っ張ってくれなかったら頭打ってたかもしれない。
そんな状況なのに引き寄せられた反動でうずめた大輝のからだに、昨日のことを思い出して少し欲情してしまう。
シャツ越しに感じる大輝の体温と、鍛えられた肉体、片手で軽々と支えてくれる大きな手、男らしいにおい。
「大輝」「なんだよ」「やっぱ、なんでもない」
大輝は不満を隠そうともしないけど、あたしが思ったことを言っちゃったら怒るでしょ?
公共の場でえっちのときもおっぱいしつこいもんね、なんて。
(おっぱいって言い過ぎ)