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□きみをよぶ
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◎大岡越前でござる?
嬉々として弧月で先陣をきったのは太刀川さん。
迅も応戦したし、蒼也さんもその部下の歌丸?だっけ?もでた。准くんも充もキトラちゃんも。
「なまえ!!シールド張れっ」
置いてきぼりなわたしは、出水にシールドを強制された。
…ほんとにほんとに帰りたいんだが!?
「出水、今ならまだ間に合う。手を離そう」
「もうおせーから。太刀川さん呼んでるから行くぞ」
呼ばれたのは!あんただけですけど!
引っ張られるがままに太刀川さんの所に行くと、めちゃくちゃ不審な顔でみられた。出水とわたしの顔を交互にみて、繋いだままの手を凝視される。
そりゃそうだ!戦場でお手てつないで何してんだってね!
「出水、それは何だ。離せよ」
「なまえのやつ逃げようとするんですよ」
「…お前は三輪と米屋と組んで、嵐山隊を足止めしろ」
「了解。いくぞー、なまえー」
「うう、う?…たちかわさん?」
抵抗するのを諦め、全てをこの前髪目にぶっささり野郎に強制されたことにしようと決めたら、空いてる方の腕を太刀川さんにつかまれた。
出水を見上げると、一瞬目を見開いてから、いじわる〜な感じに目を細めた。危険。太刀川さんを見上げると、なにやらご不満な様子である。何故。
どっちも手ぇ離そうよ。なんだこれ。大岡越前か。
「…太刀川。行かせてやれ。こいつを残して寝返られても面倒だ」
蒼也さんのなかなかわたしに対して失礼なお言葉に、太刀川さんは不承不承といった感じで手を離してくれた。
つーか寝返るって蒼也さん、やっぱりあなたエスパーですか!!
だってさ!准くんなら強制的に戦わせたりしなそうだなーって。
うまいことわたしを宥めすかしてくれるだろうなーって!
それでいいのかって?!いいんだよ!
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