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□きみをよぶ
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◎廻るやつ
入隊式でキトラちゃんとお話しよう作戦!は、わたしのリタイアにより失敗に終わってしまった。
まさかあそこでカウンターパンチをくらうとは!
おもっきし動揺しちゃって修っちに逃げちゃったよ!
今はひとりで大人しく訓練生たちの様子をみてる。
戦闘訓練でぶっちぎりの早さをみせた遊真が囲まれている。
聞くところによると、ちかちゃんもトリオン量半端ないらしいし、今回の入隊式は玉狛勢の独壇場だね!
「なまえ先輩?何してんすか」
「お、きょん介!入隊式スタッフなう」
「へえ。ちゃんと飯食ってますか」
「食ってる食ってる!年末はお世話になりました」
今回は玉狛から2人入隊するから、支部代表できょんが来たらしい。遅れたのはバイトが長引いたとか。頑張ってるね勤労学生!
そうそう、年末といえば出水と焼肉行ってから、開発室に閉じ籠って意図せず不眠不休で4日くらい経ってたんだよねぇ。
我ながら開発に関する集中力は素晴らしいと思う!
ただトリオン体になったり生身だったりしたのも手伝って、身体の信号ガン無視してた。
よく覚えてないけど、トリオン体でぶっ倒れた所にきょんが来て、わたしを背負って栄養補給と休養をとらしてくれたのである。
「しみじみ思ったんだけど、きょん介がいなかったらわたし死んでたよねぇ。いつもありがとうね」
「もっと感謝してくれていいんですよ。夕飯おごってくれるとか」
「具体的かよ!おごりますよ!何でも!」
「じゃあ寿司で。ごちです」
「廻るやつな!いつでも声かけて。暇なら行く」
「明日はどうすか」
「早速!?あ、でも丁度非番だからOK」
明日の夕飯を手に入れたきょん介は、あんまり無理すんなとわたしの頭をぽふってから愛弟子の修っちとキトラちゃんの所へ行った。
うん、気のせいじゃなければわたしすっげえ睨まれてる!
マジでキトラちゃんに何かしたかなあ?!
…なんか暇そうにしてる充に相談してみよう。
「先輩、ケータイ鳴ってます」
「おへ?あ、ほんとだ」
ジョーズのテーマじゃないから気付かなかった!
げんこつやまのたぬきのメロディがのんびり流れてる。
「もしもしー、なんでしょう鬼怒田さ、」
≪なんでしょう、じゃないわっ!おまえが試作した情報貯蔵トリオン兵が大事な情報を食っちまった!早くなんとかせんか!≫
うわぁ、すごい剣幕だ。
隣にいた充にも丸聞こえだったらしく、ここはいいから行って下さいと気をつかわせてしまった。
申し訳ないけど、お言葉に甘えさせてもらおう。あっちはわたしがいないとどうにもならない。
そういえば明日から学校はじまるけど、無事に登校できるのか。
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