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□きみをよぶ
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●烏丸京介2







こうなる予感がしなかった訳ではない。

あの人の性格を知りながら、きちんと言っておかなかったおれも悪いのかもしれない。







「きょん!おまたせ〜!」

「よう、京介。おれらも寿司行くぜ」

「わりーなー 京介。寿司って聞いたら我慢できなくてさ」







昨日した約束通り、なまえ先輩と夕飯に行くために校門で待ち合わせをしていた。

何かと頼まれごとがあったり、開発室に籠ったりする先輩を外に連れ出すのは難しいからと、焦って約束をとりつけたのがよくなかった。


待ち合わせ場所に現れた彼女は、同じ学年の出水先輩と米屋先輩を連れていた。





「公平たちと同じクラスんなってさー、夕飯誘われてね。今日はきょん介と寿司って断ったんだけど」

「そんなことだろうと思いましたよ」

「でも安心して!きょんの分はわたしが出すからさ!」






そういう問題じゃない。と言ってもこの人には伝わらないだろうし、今ここで言って出水先輩や米屋先輩に横槍を入れられるのは間違いない。

とりあえず人の気も知らないで、のんきに納豆巻きを食べまくると語るなまえ先輩の頬をつねった。





「ふい!?はひふるろ!?」

「いいから黙っててください」

「京介ー、あんまなまえのこといじめんなよ」

「…出水先輩」






手の力がゆるんだすきになまえ先輩は逃げ出し、後ろにいる米屋先輩の方へ行ってしまった。なんだその反応。動物か。





「おまえ、年末あの発明バカを助けてやったんだって?」






出水先輩はいつもと変わず飄々としていて、よくわからない。

迅さんみたいに、いつも何か企んでいるような目をしている。

そのすっと細められた目が探るようにこっちを見るから、居心地の悪さに口を開いた。





「出水先輩には関係ないっすよ」





何をガキみたいなことを言ってるんだ、と思う。

出水先輩は目を見開いて、それからニヤリと底意地の悪そうな笑みを浮かべて肩を組んできた。






「これからもあいつの面倒見てやってくれよな!」

「…は?どういう意味すか」

「どうって?まんまだろー?放っとくとなまえはのたれ死ぬからなー」






出水先輩はやたら楽しそうに笑っている。


…なまえ先輩のことは言われなくたってそのつもりだし、ずっとそうしていくつもりだ。






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