そ の た ゆ め
□月曜日
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一秒が六十個集まって一分になる。
一分が六十個集まって一時間になる。
その一時間は、二四個集まって一日になる。
そして、
一日が七個集まって一週間になる。
こう言ってしまえばこれからやってくる一日なんてただの経過でしかない。
過ぎた去った昨日はもう二度と戻りはしないけど、一日一日は必ずやってくる。
だから、旅をするオレたちにとって、曜日だなんていう名前は別に要らなかった。
「兄さん、」
街を移動中、不意に頭上高く響いた声。
何だ?と薄く笑って見上げれば、アルがこっちを覗き込む様にしてオレを見ていた。
「珍しいね。いつも突っ走ってばかりの兄さんが今日は考え事?」
「…ぁあー まぁな、」
確かに当たっているようなそうでもないような。自分の中で出ていたそんな結論を適当にはぐらかすような答え方をしたら、アルは困ったような相づちをくれた。
「もー兄さんは。まさかウィンリィのことじゃないよね?」
「ばっ…――っ!?」
バッカじゃねーの?
アルの言葉をそう否定しようとしてた時だった。
人混みの中をぬう様にしてすり抜けていく長い髪の後ろ姿が丁度目に入った。
ひらりひらりとなびく、今まで見たこともないくらいの真っ黒な髪。
その黒髪に、思わず目が奪われたオレは歩く速さまで遅くなっていたようだった。
「…兄さん、?」
そんなオレを不思議に思って名を呼んだアルの声にやっと我に返った。
「ぁあ、悪い。ちょっとな…」
「うん?」
相変わらず歯切れの悪いオレの返事。
そしたらやっぱりアルも気になったみたいで、
「…誰か居たの?」
「あぁ…、」
その、アルの問い掛けにオレはさっき見た後ろ姿の人物の話を一通り打ち明けた。
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