ぶ り ー ち

□水滴と渦巻きとキミと
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久しぶりに見えた晴れ間。

雨が上がったばかりの外の景色に視線を落としながら隊舎内を歩いていたら、既に外に人影が見えた。

だから、もしかして隊長…?なんて思って近づいてみたら、その影は隊長でも何でもなく最近移動してきたばかりの子だった。



「…何してるんだい?」


雨に濡れた植物の葉っぱをただじーっと見つめる姿に、素直に声をかける。

けれどおかしい…
一向に返事がこないのだ。



「、ねぇ。何してるの」


だからちょっと荒げて声をかけたら、その小さい両肩がびくんっと強張って同時に素っ頓狂な声が返ってきた。



「っわぁあっ!?ゆっ…弓親さんいらしたんですかっ!」


本気で驚くその姿に小さく笑うと、何をしていたのか再度僕は尋ねた。

そしたら、これには流石の僕もちょっと裏切られた。



「…かたつむり見てました」


恥ずかしそうに一枚の葉っぱを指差す彼女。
確かにその先には、まだ小さいかたつむりが乗っていた。



「…ほんとに君には…」

「?え…?」



いつも目が離せないよ…。

一本取られたような困った笑顔を彼女に見せて、何でもないよ。と誤魔化すけれど、不意に彼女を抱き締めたくなった。




 E N D

2009 06 02.*20090603*
 

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