小説部屋2

□リクエスト小説
1ページ/2ページ

少年の戦争

「なんで・・・こんなことに・・・・」
少年は立ち尽くしていた
眼前の恐怖すら感じず
誰ともわからぬ腕を手に持ち
銃声の聞こえる街の中心で
爆音轟く街の中心で
やがて、少年にも流れ弾が当たり
その場に崩れ落ちる
「ちくしょぅ・・・・・」

忌まわしきクロイツ国内紛争
手引きをしたのは近隣国では有名な組織の工作員
手始めに三人の工作員が入り、バラバラに生活を始める
そして頃合を見計らっていざこざを起こし『銃撃戦』をはじめる
銃の少なかったその国は銃を購入するためにその組織を頼る
そこで銃を元値より高値で売りつける
そうして金を稼ぐ
その標的になったのがクロイツ国
紛争は半年近く続き、隣国の仲裁により終結
事実を知るのはごく一部の人間のみ

「ひどい有様だな・・・・」
戦闘服を着た人たちが破壊されつくした街を散策する
「これじゃあ、望みはもてないわね・・・・」
メットをつけているが声は女性の物だった
「たとえ望みが0.001%であろうとも、その僅かな望みを捨てるな」
しっかりした声の持ち主が言った
そこへ
「おーい!瓦礫の下に子供がいるぞ!まだ息がある、こっちに来てくれ!」
少しはなれたところにいた戦闘服の男が叫んだ
みながそこに集まり、瓦礫をどかす
するとそこには、足を撃たれ衰弱している少年が倒れていた
その手には肘辺りからもぎ取れていた腕が握られていた
「早いとこ連れて帰る必要があるな・・・すぐに基地に運ぶぞ!」
男の一言に一斉に動き出し、すぐに車に乗り移動した


「・・・・・う・・・・」
目を開けると、ぼんやりとした世界が広がっていた
ずっと目を閉じていたため、視点が定まっていないのだ
「ここは・・・・どこだ?・・・・・う!」
体を起こそうとすると足に鈍い痛みがあった
「目が覚めたか少年」
がらりと扉を開けて顔いっぱいに傷の入った男が入ってきた
少年は体を強張らせた
「おいおい、そこまで警戒しなくても平気だ。なにせここは俺達の基地だからな」
「基地?」
「そう、クロイツ国を紛争に追いやったような組織の解体させるための部隊だ」
「紛争に追いやった組織?誰かが手引きしたってことか!?」
少年は足が痛いのも忘れ起き上がった
「その組織の名前を教えてくれ!」
「まずは体を治せ。話はそれからだ」
そういい残して男は立ち去った

一週間経ち
少年の足もほぼ回復していた
「では、ことの始まりを教えよう」
男は淡々と説明した
「そんな・・・・それだけのために」
「そういう奴らなのさ」
細身の男がぼそりとつぶやいた
「で、君はこれからどうするつもりなの?」
セミロングの女の人が質問してきた
「もう行くあてもないんでしょ?」
その問いかけに少年は険しい顔になり床に目を落とした
「・・・・・てください」
「?」
「俺もこの部隊に入れてください!」
少年が顔を上げたときには迷いはなかった
「復讐のためか?」
傷の男が問いかける
その問いに少年は
「それは否定は出来ないけど・・・これ以上犠牲国を出したくないんだ!」
少年は傷の男の瞳を真っ直ぐに見据えていた
(ほぅ・・・・良い目だ)
「いいだろう、ただし訓練は厳しくつらいが、それでもいいのか?」
「はい!」
少年は即答する
「名前は何と言うんだ?」
「フェルトール・ロンバルタです!」
傷の男がすぅっと息を吸い
「現時刻を持ってフェルトール・ロンバルタをミルガルズ部隊に入隊することを許可する!」
と、高らかに宣言する
「俺らには名前はない。全員好きな名前で呼び合っている。俺は『ヒート』だ。
とりあえず、この部隊のリーダーだ。よろしく」
傷の男が自己紹介するとセミロングの女が
「私は『アクア』よ主に後衛よ、よろしくね」
といってきた。
「俺のは『ミラー』だ。偵察が基本だな」
細身の男が肩を叩いてニシシと笑った
「でだ、フェルトール君。君も何かつけておいたほうがいいぞ?」
細身の男はゆるい声で言ってきた
「そうだな・・・・『ロスト』でいいですか?」
「ほう・・意味は?」
「帰るところを『失った』からです」
「そうか・・・・では入隊したからにはきつく行くぞ!」
「はい!!」
こうして少年は入隊し
紛争へと追いやった組織との戦いが始まった
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ