過去拍手 BOOK

□眠り姫
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眠り姫



「ごめんね、おまたせ…あれ?」

僕の部活が終わるのをいつも待ってくれている大切な彼女。

今日は終わるのが遅くなって、いつもより待たせてしまった。

申し訳ない気持ちと早く会いたい気持ちが合わさって急いで教室に向かう。

そこに居たのは、机に伏せてすやすやと規則的な寝息をたてる彼女。

寝顔がかわいくて、暫く見つめていたら。

「ん…不二君…」

「え?」

起きたのかな、と思ったら。

「だめ―――っ!!!いくら不二君が味覚オンチでもそんなの食べたらお腹こわしちゃうよ!!」


「………」


僕の夢見てくれるのは嬉しいけど、素直に喜べないな…。

それに僕は味覚オンチなんじゃなくて辛い物が好きなだけなんだよ?

誤解をとかないと、なんて考えながら苦笑していると。


「ふじく…好き…」

微笑んで言うキミが愛しくて。

「僕も好きだよ」


夢の中の僕にだって奪われたくないキミだから。

目醒めのキスを贈りましょう、眠り姫。









――――――
不二君、あなたは立派な味覚オンチです。乾汁が平気な時点で常人じゃないです。






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