過去拍手 BOOK
□きっかけ
1ページ/1ページ
きっかけ
「ねー不二君てさー」
「ん?何?」
「沢山女の子から告白されてるのに誰とも付き合わないじゃない。どうして? 可愛い子ばっかりなのに」
休み時間、突然のキミの質問。
「うーん…そうだね、気持ちは嬉しいけど、やっぱり付き合うことは出来ないかな。
――僕には好きな子がいるから」
瞬間、彼女の顔が曇った。
それは注意して見ていないと気付かないくらい、ほんの一瞬。
すぐにその表情は消えて。
「なるほどねー。うん、納得」
そう言って席を立とうとする彼女を、咄嗟に引き止める。
「僕の恋が実るかどうかは、キミ次第なんだけどな」
彼女はきょとんとした顔をして、それからりんごみたいに真っ赤になった。
「か…っ からかわないでよ!」
「からかってなんてないよ。僕のこと、考えてみて?」
彼女は真っ赤になって俯いたまま、コクンと頷いてくれた。
告白のきっかけは、彼女の問い掛け。