過去拍手 BOOK

□きっかけ
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きっかけ



「ねー不二君てさー」

「ん?何?」

「沢山女の子から告白されてるのに誰とも付き合わないじゃない。どうして? 可愛い子ばっかりなのに」

休み時間、突然のキミの質問。


「うーん…そうだね、気持ちは嬉しいけど、やっぱり付き合うことは出来ないかな。
――僕には好きな子がいるから」


瞬間、彼女の顔が曇った。
それは注意して見ていないと気付かないくらい、ほんの一瞬。

すぐにその表情は消えて。


「なるほどねー。うん、納得」


そう言って席を立とうとする彼女を、咄嗟に引き止める。

「僕の恋が実るかどうかは、キミ次第なんだけどな」



彼女はきょとんとした顔をして、それからりんごみたいに真っ赤になった。

「か…っ からかわないでよ!」

「からかってなんてないよ。僕のこと、考えてみて?」


彼女は真っ赤になって俯いたまま、コクンと頷いてくれた。





告白のきっかけは、彼女の問い掛け。







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