過去拍手 BOOK

□Sweet?
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Sweet?



今日はバレンタイン、女の子にとっては凄く大きなイベント。

勿論女の子だけじゃなく、男にとっても一大イベントな訳で。

僕も例外なく、大切な彼女からのチョコを楽しみにしてたんだけど…



朝からずっと、彼女の機嫌がすこぶる悪い。

口を固く結んでへの字に曲げて、頬を少し膨らませて、『むっす―』っていう形容がぴったりな表情。

そんな顔も可愛いな、…なんて思ってる場合じゃなくて。

何だかチョコ貰えそうに無い雰囲気…?


「ねえ、僕何かしたかな…?」

「別にっ」

それだけ言ってそっぽを向いてしまった。


あまり感情を表に出さない彼女がこれだけ怒るのは珍しい。



その後も色々と言ってみたけれど、彼女の機嫌が直りそうな気配は無い。

部活に行く時間になってしまい、仕方なく腰を上げる。

凄く楽しみにしてたのにな、なんて思うと溜息が漏れる。


「…じゃあ僕、部活行くね」


そう言って立ち去ろうとすると、彼女が何か呟いた。

「………んだもん」

「え?」


聞き取れなくて聞き返すと彼女は頬を赤く染めて。


「〜〜ッ…だから!!あたしが1番にチョコ渡したかったの!彼女なんだもん…」

「………」

「だけど周助朝からいろんな子からチョコ貰ってるし。我が儘だけどみんなと同じじゃ嫌なんだもん…」


彼女は怒っていたんじゃない、妬いてくれてたんだ。

その気持ちが凄く嬉しくて。
だって妬くってことはそれだけ僕のことを好きでいてくれてるって事でしょ?



「僕が欲しいのはキミのだけだよ」


彼女は頬を染めてから少し微笑んで、綺麗なラッピングのチョコをくれた。



それはとろけるように甘くて。




この甘さは、チョコのせいだけじゃないよね…?






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