過去拍手 BOOK
□秘めたキモチ
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いつだって、
キミを見ている。
秘めたキモチ
部活帰りの辺りも暗くなった時間帯。
向かい側から見慣れた人影が歩いてくる。
「あれ、どうしたの?こんな時間に」
「あ、周助…!」
僕に気付いて顔をあげた彼女を見て、胸が締め付けられた。
真っ赤な目の、泣き腫らした顔。
キミはまた、他の男を想って泣くんだね…
「彼氏に振られちゃったりした?」
表面的には冗談ぽく、でもそうあってくれたらどんなにいいか、なんて酷いことを願いながら問い掛ける。
「なっ…違うっ!!……ケンカしただけだもん…」
ああ、そんなに切ない顔をして涙を溜めないで。
キミが想う人は僕じゃないと思い知らされる。
キミを泣かせるような奴なんてやめなよ
僕なら絶対泣かせない
その涙が僕の為ならいいのに
お願い、僕を見て
溢れそうな思いを呑み込んで、僕はキミの背中を押すんだ。
「謝っておいでよ。大切な人なんでしょう?」
「…うん、そうする……」
ありがとう、と微笑んで走り去っていく彼女。
「キミが好きなんだ…」
呟いた言葉も、その背中に届くことはない。
後に残るのは、寂寥感と胸の痛み。
fin.
――――――
初めて切ない話書きました。片想い不二君です。