過去拍手 BOOK
□芽生える思い
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キミには、笑っていてほしいから。
芽生える思い
「おっはよー不二っ!!」
「!」
その声と共に、バシンと背中に衝撃が走る。
それはもう、息が止まりそうなくらい。
「…おはよう、相変わらず元気だよね」
席が前後なこともあって、彼女とは仲がいい。
「まーね!元気なら有り余ってるよあたし!」
そう言って笑ったキミに感じた違和感。
空元気な気がした。
「ねぇ、何かあった?」
気付かれないと思っていたのだろうか、彼女の肩が微かに跳ねる。
「…なんで…」
さっきまでの彼女からは想像できない弱々しい声。
「無理に明るくしようとしてるでしょ。何があったの?」
「あーあ、不二には隠し事できないね。…実はさ、あたし失恋しちゃったんだー」
「…っ…」
「もう彼女がいるんだって…」
あはは、と力無く笑う彼女が痛々しくて胸が締め付けられた。
「無理に笑おうとしないで。辛いときは辛いって言っていいんだよ」
「不二、」
「悲しいときは、泣いていいんだよ」
「〜〜ッ」
崩れ落ちて声を殺して泣く彼女を見て。
その震える肩を、そっと抱きしめた。
キミの笑顔は、僕が守りたい。
fin.