湖の幻影

□武田の日常!?
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日もだいぶ昇った頃、佐助は一人の部下に見送られながら仕事に行こうとしていた。


「じゃー俺様は行くから。大変だろうけど後は頼んだよ、小介」

「はい。これくらいの仕事なら平気です。おまかせ下さい」


返事を聞いてニコリと微笑むと佐助は風のように消えた。






残された小介は城の方を見た。


「まずは見回りか…」

長に与えられた仕事を実行しようとしたその時、叫び声が聞こえてきた。


「佐助、居らぬのか!佐助ぇぇぇ!!」


「幸村様!」


尋常じゃない雰囲気に小介はすぐに声の方へ向かった。












駆け付けると幸村は必死な様子で廊下を突っ走っていた。


「何があったんですか!?」

「おぉ、小介!!佐助を見なかったか!?」


幸村は急ブレーキをかけ、少し滑りながら言う。

そんな主を見て、あまり重大な用ではないことを経験上悟った小介は落ち着いて答えた。


「佐助様はお館様の命で偵察に行っています。なので、用件は俺にお申しつけください」


「そうだったか…。それでは、某の団子をしらないか?」

「……団子、ですか?」


幸村はこくりとうなずくと説明を始める。



「佐助があの有名な老舗、【さくらいろ】の団子を買って来てくれたのだ!!さっそく食べようとしたのだがその色つやも素晴らしく、思わず見入ってしまい…。」

ここまで聞いて展開が読めた小介は、軽く目を伏せた。



我主ながら情けない…



「そうしているうちに軍議の時間になった故、そのまま行ったんでござる!!で、帰ってきたら…」


そこまで言ってプルプルと震え出した主に代わり、続きを口にする。


「なかったと…」

「うおぉぉぉ!!某の団子ぉぉ!!!」



いきなり燃え出した幸村に気付かれないよう小介は小さくため息をついた。


「幸村様、落ち着いて下さい。たかが2、3本の団子でそこまで騒いでいると、本当の馬鹿みたいですよ」


「むっ。さくらいろに向かってたかがとは何でござるか!!それに団子は20本だっ!」






幸村がそう言った時、すごい速さで駆けてくる影があった。



「そこにつっこむんかい!!」




バシッ!!






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