豆粒ほどの夢語

此所は白夜の気紛れ更新のミニマム夢です。

脈なしで書きたいなぁと思ったものを思うがままに書いて行きますので、苦手な方はご遠慮下さい!

『』←はヒロイン 「」←はキャラです
◆佐助・悲恋 白夜

「ねぇ、まだ俺様に抱き付く気は無いワケ?」
「無いに決まってる」
火鉢から炭が弾ける音がした。その様子をじっと見つめる彼女高く結った癖の無い漆黒の髪が言葉を発する度に微かに揺れた。長い髪から覗く綺麗な顔には強い意思を持った切れ長な瞳が覗いている。
「今なら見張りも居ないし言ってくれれば簡単に連れ去れるから俺様大助かりなんだけど」
「五月蠅い。これ以上無駄口を叩くなら家来に告げ口するぞ」
こちらを向く素振りさえ見せない相手に両手を上げて降伏を示す。
―…そう、今目の前にいるのは誇り高き竜の妹君。
普通なら言葉を交わすどころか他国の忍が見ることさえ不可能な凛々しき少女。主君からの命令で向かった住家で偶然見つけた愛しき存在。見えぬ己の姿を天井板越しに射殺すように見つめた瞳に恋したのは昔のこと。
苦笑零して見詰めた君の横顔は変わらぬ凛々しさ。
「ねぇ…俺と行こうよ」
軽く口にしても了承が出れば即行動に移すのに
「行ける筈が無いだろう。敵同士なのに」
決して紡がれない甘い言葉。報われないと分かっていても向かう足が止まらないのは君が発した甘い毒のせい。強い意志を携えた瞳を隠すかの様に長い睫毛が切なげに揺れた

2008/11/24(Mon) 15:28

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