■愛の果て■

□迷惑だから
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「おめでとうございます。妊娠3ヶ月めですよ」
信じられない事態。
私の体内に、あの人の分身が宿ってしまった。

話すべきなのは判っている。
でも、こんなこと言っても迷惑なだけ。きっと、知らないフリして放っておくのだろう。どうすれば良い?
いっそのこと、卸してしまおうか。それとも、姿をくらまして、こっそり育てようか。あの人に迷惑だけは決して掛けたくないの。

お腹の子と一緒にあの世に旅立とう。
それで、迷惑掛けなくて済むから……。
私は、あの人に向けての遺書を書く為、紙と万年筆を手に取った。
2・3枚では書ききれない想い。あの人に手紙を送るのは、最初で最後。
遺書なんて、手紙のうちに入らないだろうけど。
大佐、弱い私を赦して下さい。
貴方だけはずっと、生きていて…。
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