■愛の果て U■
□幸福論短編集
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『毛布』
とある夜の残業時間
「中尉、ちょっと仮眠をとらせてくれ」
私の言葉にホークアイ中尉…愛しいリザは顔だけ向けて見詰めて来た。
―ふざけたことを言うのもいい加減にしやがって下さい、無能上官。
「…仕方ないですね。ですが、仕事の量もあるのでそこのソファーで寝ていただきますから」
本音がずいぶん、丸見えだが怖いのでそこには触れないでおこう。
とりあえず、寝れる限りは寝よう!
リザの言われたとおり、私はそこのソファーに横になる。
この状況でリザも横になったら迷うことなく抱きしめてやるんだが!
「では適当な時間になったら、起こしてくれ」
「了解しました。…大佐、起きて下さい」
「早過ぎだ!せめて10分だろう!?」
「大袈裟ですね。大佐、風邪をひくといけませんので毛布かけておきます。…私のもので申し訳ありませんが、お使いください」
君の毛布を使わせてもらえるなんて…!
君の恋人になって本当によかった!!
かけられる毛布の温もりが伝わる。
嗚呼…リザの体温…!
「ではおやすみなさい、大佐」
リザの声を最後に、私は眠りへとつく。
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その頃、廊下ではこんな会話が
「中尉、あれブラハ用の毛布でしょ?」
「あら…やっぱりばれた?」」
「そりゃぁー…明らかにぼろかった毛布でしたしね」
「でもこれくらいやらないと」
ささやかな上司イジメに気付かない人。