Spell Cogs

□第七話 知り得ぬ魔力
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船が到着すると、4人は地に足をつけた。

イベラスタ王国の首都、ハルワ。
ウェストンには劣るものの、比較的大きな街で、その周りは高く立派な城壁で囲まれている城塞都市。

――のはずなのだが。

「……」
「あー……あはっ」

枯れた苦笑いでは、流石に3つの絶対零度の視線を温めることは叶わない。
居たたまれなくなり、シウダードは積もっていた雪を足で撫でた。なんとか顔を上げるも、仲間たちの視線は暖かくはなりそうもない。

当然だ、間違えたのだから。
ハルワ行きのチケットと、この地――ターミル行きのそれを。
3人は見事にやってくれたシウダードと、彼に頼んだ自分たちの判断を呪いながら、どうにもならないこの感情を怒鳴り声という形で吐き出した。

「「「シウダードっ!!」」」

極寒の地が少し震えた気がした。
あたりがしんと静まり返った中に、シウダードの細々とした「ごめん」が、虚しく響いた。


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