Spell Cogs

□第三話 パーティ結成
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「うげ、いつ来ても真っ暗だなぁ」

足元気をつけろよー、と言いながらシウダードは手に持つ松明を掲げて辺りを見回す。3人の周りを照らす唯一の明かりを追うようにフィエスタも続いた。その隣にノースが辺りを警戒しながら進む。何も見えないこの空間。恐怖心が煽られたノースは、左右がガラ空きになるのを恐れフィエスタの隣に場所を確保したのだが、やはりそれだけでは不安になってくる。
暫くは我慢していた。が、とうとう耐えられなくなったノースは腕をフィエスタのそれに絡めることで安心感を得た。しかしそれに気付いたフィエスタが肩を跳ね上がらせる。

「な、何すんだいきなり!」
「うっ、だってこ、怖いもん!」

お願いだからこのまま!と半泣きで懇願するノースの気迫に負けて、フィエスタもそれ以上は何も言えなくなった。
腕を絡めて必然的に密着するノースのおかげで歩きにくい。しかしそれ以上に顔に集まる熱が邪魔だ。辺りが暗いからまぁ誰にもバレないだろう。とタカを括ってフィエスタは洞窟の奥を見据えた。
まだまだ先は長い。これから、下手をすれば最深部まで行かなくてはいけない。その間ずっとこのままかと考えると、彼の口から溜息が漏れた。

「まぁあんま広くない洞窟だし、ちょっとだけ我慢して」

シウダードのその言葉に、ノースはうん、と無理矢理納得したように頷いた。ちらりと歩く先を見据える。真っ暗で殆ど分からないが、少なくともこの洞窟は広くはないが狭くもないのだろうことは分かる。ノースはきゅっと腕に力を込め、パートナーが隣にいることをもう一度確認すると、また辺りを忙しなく見回しながら歩き出した。





「もうすぐ行き止まりだよな?フィエスタ」

――もうどのくらい歩いただろう。

小一時間は歩いたのではないかと思い出した時、松明の明かりで辺りを見回しながら自分の記憶の中にある地図と現在地を照らし合わしたシウダードは、達した結論に対してフィエスタに確認した。

「多分な。もうそこの角を曲が…」

シウダードに返事をしながらフィエスタは前を見据える。そして前方に見える明らかに場違いな光に思わず言葉を切り、目を凝らした。

「…おい、何だ?あれ」

前方が曲がっているため、光の根源は分からない。しかし回りの岩を青白く染めているそれは、間違いなくこの先から届いている光だ。
自分の目でそれを確認したノースは、慌ててフィエスタの背後にまわった。

「おおお…お化け?」
「んな訳ねぇだろ、この馬鹿」

マントを掴まれたフィエスタは、ノースに疎まし気な視線を送りながらしかし振り払ったりはせず、シウダードと目で行くか、と会話し同時に頷いて歩を進める。そして角を曲がった瞬間、光の根源が目に飛び込んだ。

「な…何だあれ」
「ドー…ム?」

洞窟の最深部にあった光の根源。
それは丁度小さいかまくらのような光のドームだった。ただし、出入り口と思われるものはない。そして光が外に向かってきているため、中の様子が分からない。

「どう考えても普通じゃないだろ」
「まさか…この中にティエラがいたりとか?」

俺が知るか、とフィエスタがシウダードを一蹴りする。それにだよなぁ、と諦めたように言うと、ドームを壊すつもりなのだろう。鞘から剣を静かに抜いた。その音に、パートナーの背後からノースが漸く顔を出す。そして光の正体が分かると、すぐに前方に飛び出した。

「ああ!ダメだよっ!」
「へぁ?」


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