Spell Cogs
□過去の物語 ティエラ
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「こんな風に枯れちゃったお花を元に戻すにはね、蘇生魔法を使うしかないのよ」
「そせい…まほう…?」
「そう、教わったでしょう?蘇生魔法はね、無くなった命を戻す魔法だから…代償が大きいの。今は使っちゃいけない魔法の1つなの…でもね」
話ながら魔法を使ったのだろう、ティーネがそっと手を離すと、一輪挿しの上にはネックレスがかかっていた
大きな宝石を思わせる、透き通った藍色のトップを持つネックレス
「お花のままだと枯れてしまうけど…これならずっと、ティエラのそばにあるわ」
「わぁ…!」
母の魔力で出来たネックレスのトップを、そっと手の平に乗せ、まじまじと観察する
あの花であった面影といえば、その色くらいだが、それでもティエラは満足だった
子供らしい微笑みをそれに向けてから、両手を母の前まで差し出す
「このネックレス、おかあさまにあげる!」
「え?」
ティエラは言った
枯れてしまった花は、魔法界で大切な人を守る花と信じられている花で、ティエラは母にプレゼントする為にあの庭師から譲り受けた花だった
世界を知らない幼いティエラにとって、憧れであり、目標でありそしてなにより大切な存在である母に、その花で出来たネックレスを差し出したのだ
「ティエラ…ありがとう」
小さな手を離れたネックレスを、自分の首に飾る
自分の魔力で作ったネックレスをつけるのは何となく違和感があったが、それでも愛娘が自分にくれたものだからそんなことはどうでもよかった
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