Spell Cogs

□第六話 リームの森
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「な、なんだっ?」
「…こんなに朝早くから、何事ですか?」

朝早く、と言ってもまだ太陽が顔を出すか否かの時間。
激しい音を伴う謎の訪問者に、フィエスタとティエラが上半身を起こし、不満あり気な声をあげた。
部屋の入り口に立っていたのは城の兵士だった。両手を膝につき、肩で息をしているところを見ると、随分急いで来たのだろう。言葉がなかなか出てこない。

「…んぁ?何この朝っぱらから」
「うーん…おはよー…」

部屋に人が入って来たことを気配で感じたのか、あれだけの音がしても起きなかったシウダードとノースも寝惚けながらではあるが、上体を起こした。起こしはしたが、ノースの両目は未だ閉じられている。

「あれっ?てか何?女の子もいるのにこんな朝早くから!」

目を擦りながらだんだん今の状況が解ってきたシウダードがベッドから降りながら言った。
確かにこんな時間にノックもなしに寝室に入ってくるなんて関心できたものではない。が、それでも兵士は気にもとめず、呼吸を整えると一息に言った。

「お前らリーム出身だろっ?大変なことになってるぞ!」
「…リーム、だと?」

リームと言われた瞬間、フィエスタとシウダードの表情がこわばる。故郷の街が大変だと聞けば、こうなるのも当然だが。彼らの反応を見てか兵士も曲げていた腰を伸ばし、鎧ごしに4人をじっと見据えた。

「昨日周辺の森の魔物が暴れだしたらしい、街の保安隊が手をやいてるって…お前らにも動いて欲しいと王が言っておられる」
「森の魔物…ってぇと、リームの森の例の魔物か?」

シウダードは腕を組み、うつ向いた。リームの森とは、リームに隣接する森のこと。丁度、ティエラがいたあの洞窟の隣にその入り口が設けられている。もっとも、今は封鎖されているが。
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