Spell Cogs

□第八話 特有の才能
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「うわぁっ!凄い!綺麗!」

ノースがそう言うのも、無理はなかった。
街の中は綺麗に整備されていて、石造りの水路には透明の水が流れ、色とりどりの花がその周りを飾っている。水路が多いこの街。必然的に多くなるブリッジは中心が少し高くなっていて、その下の水路を、時折細長いボートが過ぎていく。
しかし流石に学習したのだろう、うずうずはしているが、ノースはいきなり走り出したりはしなかった。

「兎に角今日はここに泊まろう。カッサラまで行くなら、朝一で出ないと着かねぇ」
「そうだなー。下船したばっかだし、賛成!」

シウダードは地図を広げ、現在地から一番近い宿屋を探し出した。
城下だけあって、広いこの街にはいくつか宿屋があるが、その中でも一番近いそれを見つけることが出来たシウダードは、指差しながら場所を仲間を導く。

宿に向かって歩いている途中、ノースはこの街で一際目立つ、大きな建物を見つけた。
真っ白な壁に、空色の屋根。街の中心に構えているそれから目を離さずに、ノースは隣を歩くパートナーの袖を軽く引っ張る。

「ね!あれって、お城だよね!」
「あ?あぁ、ハルワはイベラスタ王国の首都だからな。王が住まう場所もある」

フィエスタの説明に、へぇーと適当に相槌を打って、ノースは進行方向に視線を戻した。
そうこうしている内に目的の場所に到着し、ノースは最後にもう一度城を眺めてから後に続きドアを閉めた。



「ティエラさん!?どうして……」
「あ、え、何?知り合い?」

宿に入り、主人であろう壮年の女性が最初に発した言葉はそれだった。
宿帳に記入していた手を止め、シウダードは目を丸くして女性とティエラを交互に見る。その視線も気にせず、ティエラは一歩前に出て申し訳なさそうにバジルを見る。

「……ごめんなさい、バジルさん」
「いや構わないよ、だけどアンタ……!」

話が見えない。
兎に角ティエラとこの主人、バジルが知り合いだということは理解出来たが、その経緯も2人の態度のわけも解らない。ノースもフィエスタもシウダードも、少しでも情報を得ようと2人の会話に耳を傾ける。


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