人造神の宴
□a prologue
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周囲の景色は闇に覆われていた。その闇に一本の道が灯る。
青年は駆ける――。
駆ける――。
まるで『何か』から逃げるように光を駆ける。
しかし、青年には分かっていた。この道が続かない事を。
何度も夢に見たのだ、忘れる筈はない。
やがて、逃げるのを阻止するかのように道は塞がれた。
――あぁ、やっぱり――
青年は絶望と共に立ち止まる。
背後から『何か』が徐々に迫ってきている。
――いい加減…見飽きたな――
青年は膝を折り腕の力をほどく。
声が響く。
雄叫びのようなしがれた声。
青年は力無く振り向くと、それはいた――。
それの姿形は分からないが、青年には歪に見えた。
――…早くしてくれよ――
それは青年を見据えると勢いよく飛びかかった。
剥き出しの牙はそのまま青年の首元を捉え――
青年をくいちぎる前に映像は消えた。
――力が…欲しい?――
少女の声を残して……。
人造神の宴
―デウス・エクス・マキナ―
a prologue