人造神の宴

□第一節『人が造りし神の剣』
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「…目覚めわりぃな…」

青年はそういうと上半身だけを起こし、手の甲で額の汗を拭う。

「ここんとこ同じ夢ばっかだな…気味悪いなー…」
青年は最近同じ夢を繰り返し見るようになった。しかし、どんな内容だったのか憶えてもいない。だから薄気味悪いのだ。
眠気も吹っ飛んでしまったので仕方なく、青年はカーテンに手を伸ばしおもむろに開く。

「正に、日本晴れってやつか…」
見上げれば一面を青で染め上げたような空をしていた。
「…蒼穹ってやつだな」

誰に突っ込んだのかわからないが青年は呆然と空を見上げている。
不意に、青年の部屋の外から足音が近づいて来た。
「棗ー?起きてるー?入るよー。…はうあっ、また起きてた!?」
「どういう意味だ!?」
ノックもせずに部屋に入り込んだ少女、天宮 天音(あまみや あまね)は部屋の主人が起きていたのに驚いた。天音は腰まで延びた金色の髪、整った顔、まつ毛に綺麗な眉毛、金色の瞳。ようするに可愛い部類に入る少女だ。ある一点を除けば。

「最近起きるの早いねー」
「天音の怪獣みてぇな足音がここまで響くからな」
ここぞとばかり反撃のパンチを繰り出す棗。それにあっさり引っかかった天音は当然のように怒った。
「天音、怪獣じゃないもん!天使だもん!」そういうと背中を向け、普通の人間ではない証を見せる。
天音の背中にあるのは白い羽だ。
飾りではないという証拠に何度かパタつかせる。
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