ARMORED PANIC ON STAGE
□PHESE-01
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しかし、そこで誤算が生じる。
振り上げた腕は確実に青年の背中を捉えていた。
いたのだが、青年の背中を守るように黒の四角い物体が現れそのまま吸い込まれるように――。
「いっったぁぁぁぁ!」
†‡†‡†‡†‡†‡†
「ホントに大丈夫ですか?
『亜沙』先輩」
「う、うん、大丈夫…」
「でも、手が……」
「大丈夫、全部『桜ちゃん』が悪いから」
「俺が悪いのか」
ジト目が青年に向けられる。
亜沙の手は腫れて赤くなっているのが一目瞭然であったが、青年はなにくわぬ顔で通学路を歩く。
「あれは亜沙が悪い」
「あ、桜ちゃん、人のせいにするんだ」
『時雨 亜沙』
桜花の通う学校の一年先輩であり料理部の部長を務める。
学園内では『驚愕の時雨』と彼女曰く、不本意な二つ名を持つ。
「毎日、叩かれる身にもなれ」
青年はため息をついて呆れ顔を作る。
「桜ちゃん、鞄で邪魔するじゃん」
霞も亜沙の言葉に頷く。
霞はどうやら亜沙側の人間らしくこれ以上は何か言うと反撃が来るため黙った。
三人が通学路を歩いている中、二つの人影が見えた。
二人は金髪をしているが髪型が異なっている。一人はロングヘアの少女で、もう一人はショートヘアをした女の子だ。
「『ツボミ』ちゃんだ。
ヤッホー!」
「霞ちゃん、おはよー!」
「ハロー、『カレハ』」
「おはようございます亜沙ちゃん、『桜花』さん」
「ん…」