天使ですよ
□06「それができたら苦労しない」
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前回までのあらすじ。
『着ぐるみ天使の上司は犬でした』
なんて、ファンシー路線の天使は飽きたってーの。
あたしは読みかけの雑誌を乱暴に壁に投げ付け、ソファーに不貞寝する。
時折冷蔵庫がうーんと唸り出すのは、夕食のオムライスの為に買った卵を早く使えと催促しているかのようだ。
そうだな。いつもなら夕飯の時刻だ。
時計をチラリと見て、あたしはゆっくりと体を起こす。
静かな我が家。
普段ならこの時間、タローがゴールデンタイムのバラエティに釘付けでテレビを見ているのだが、今日はそれもない。
「緊急会議です。現状の再認識と今後の前フリと、巨乳眼鏡ちゃんを落とすフラグを立てる為、一時戦略的撤退をさせていただきます」
などと犬の天使……コードネームはシシカバブ、呼称マリーアントワネットのポメラニアンは言って、部下のタローを連れてクローゼットの向こうに帰って行ったから。クローゼットの向こうとは、多分「天国」って所ね。
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