恋愛小説集

□先輩ちゃんと後輩くん♂
2ページ/7ページ



「伊藤! お前の彼女って、マジであの水野 司!?」


「うん、そだよ」


 高田は情報が早いな、と感心しながら俺は頷く。


「水野って、弓道部部長の超人水野だろ?」


「そんな通り名は初めて聞くけど、うちの部長の水野先輩なのは確かだよ」


 さらりと答えると、高田は興奮したように声を大にして身を乗り出す。


「え、どっちから告ったの? お前? 向こう?」


「無論、俺さ〜」


 フルーツミルクをズズッとストローで吸い上げながら、俺は答える。

 あ、因みに今は昼休みね。

 高田は野球部で友達。

 ま、そんな事ぁどうでもいいか。


「……何か、お前、趣味変わってんなぁ」


「そか?」


 首を傾げて、ミルクの残りを飲み干す。

 高田は水野先輩の何処がいいのかとか、その後もしつこく聞いて来たけど、俺は何も答えず、ただ笑ってごまかした。



 別に、先輩のいい所が思い浮かばなかった訳じゃないよ?




 ただ――……




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ