恋愛小説集
□先輩ちゃんと後輩くん♂
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「伊藤! お前の彼女って、マジであの水野 司!?」
「うん、そだよ」
高田は情報が早いな、と感心しながら俺は頷く。
「水野って、弓道部部長の超人水野だろ?」
「そんな通り名は初めて聞くけど、うちの部長の水野先輩なのは確かだよ」
さらりと答えると、高田は興奮したように声を大にして身を乗り出す。
「え、どっちから告ったの? お前? 向こう?」
「無論、俺さ〜」
フルーツミルクをズズッとストローで吸い上げながら、俺は答える。
あ、因みに今は昼休みね。
高田は野球部で友達。
ま、そんな事ぁどうでもいいか。
「……何か、お前、趣味変わってんなぁ」
「そか?」
首を傾げて、ミルクの残りを飲み干す。
高田は水野先輩の何処がいいのかとか、その後もしつこく聞いて来たけど、俺は何も答えず、ただ笑ってごまかした。
別に、先輩のいい所が思い浮かばなかった訳じゃないよ?
ただ――……