恋愛小説集

□狼さんに気をつけて
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 今、あたしの脳内BGMはピンクレディーの「SOS」がひっきりなしに流れている。


 目の前の現実と比較したら随分明るい選曲だなぁと、何処か冷静な部分のあたしがぼやく。


 けど、ちょっと待って。

 事態はあたし、若月凛子(わかつきりんこ)の15年間の常識を覆すものなの。だから、状況を整理させて下さい。



 何故、あたしが男物のパンツを握り締めてるかも含めて――……。







 事の始まりは学校からの帰路にあった。

 今日はいつもより遅い帰宅。

 というのも、図書委員で夏休みの宿題になる感想画、感想文の課題図書やお薦め図書の棚を作るなんて仕事を任された所為だ。しかも、まとまりなく且つ要領が悪い上に話に花が咲くと作業は遅れに遅れた。

 そして、終わった頃には空にはぽっかり月が浮かんでいたわけ。

 見事な弧を描く望月。今夜はちょっと赤っぽく見えた。
 あれ、どうしてたまにあんな色になるのかちょっと気になるなぁ。

 そんなどうでもいい事を月を見上げながら考えていた。

 だから気付かなかったんだ。

 自分の足下に何が潜んでいるか、なんて。
 
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